PG日誌

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ACジャパンのセーブ・ザ・チルドレンが炎上した件について

ACジャパンが支援する「子ども支援の国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレン」広告が炎上しているようです。

どうも広告内に設問があったのですがそれが難しすぎるとの事です。

まず、問題を確認する前に、広告の内容や意義や目的の説明を見ておきましょう。以下のサイトから閲覧できます。

ACジャパンでの広告スタート|セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

子ども支援の国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレンは、公益社団法人ACジャパンの支援団体の一つに選ばれました。2018年7月1日より、テレビや新聞・雑誌などのメディアや公共交通機関が無償で提供する広告枠において、セーブ・ザ・チルドレンの広告が展開されています。広告のテーマは、「問題」。この広告を通して多くの方が、世界の子どもたちが置かれた状況と、子どもの権利を守るために活動するセーブ・ザ・チルドレンへの関心を高めてくださることを願っています。

なるほど、問題らしいです。

2018年度支援キャンペーン:問題|ACジャパン

そして、これを見た人々の反応がこちら。

はてなブックマーク - ACジャパンの広告 多数の大人は簡単な文章題を正しく読めない、計算できない、広告の意図を理解できていない ツイッター、はてぶコメント欄が地獄 - Togetter

(算数の)問題と(社会)問題を掛け合わせてるのかな。ほかの問題も発生してしまったようです。

まず原文の確認しましょう

早速ですが、問題の箇所を確認してみます。

サラさんは、起きている時間の半分で家の手伝いを、残りの時間の2/3で妹の世話をします。6時間寝たとき、勉強は何時間できますか?学校へは歩いて往復3時間かかりものとします。

実際、あまりいい文書ではないです。わざと誤解を招くような印象を受けます。

内容を整理して問題を理解する

とりあえずSE(システムエンジニア)のドキュメントレビューすると以下のような指摘がありそうです。

  • 何を問うかが後置されていて読み進めないと分からない。したがって問いの部分を冒頭に移動したほうがいい。
  • 手伝いを、残りの時間の接続関係が不明瞭。一旦文節は区切ったほうがよい。
  • 残りの時間、という言葉のかかる先が不明瞭なので明示したほうがいい。
  • 学校へ~は仮定なのでその旨を明示したほうがいい。

また、指摘するほどではないのですが

  • 1日を24時間とする暗黙の前提が明記されていない

といったところでしょうか。上記指摘を踏まえ、内容を整理すると以下のようになると思います。。

サラさんが以下条件に於いて、何時間勉強できるかを計算せよ。

  • (1) 1日を24時間とする
  • (2) サラさんは24時間中6時間睡眠をとり、残りを"起床時間"とする。
  • (3) "起床時間中"の半分は家の手伝いを行う。
  • (4) "起床時間"から(3)を引き、残りの時間のうち2/3の時間妹の世話を行う。
  • (5) 仮に、勉強するため通学したとすると往復3時間かかる

まだ、誤解を招くか所があるかもしれませんがこれで大丈夫そうです。

で、実際に計算を行うと、

  • (a) : (1) - (2) で、"起床時間" は18時間
  • (b) : (a) / 2 で、"家の手伝い" は9時間
  • (c) : (a) - (b) / 3 * 2 で、"妹の世話" は6時間

従って答えは、

(a)18h - (b)9h - (c)6h - (4)3h = 0時間

つまりゼロで、サラさんは勉強する時間はありません。なんてこった。

従って、この文書を読んだ人は、「なんてこった。サラさんは勉強することができないじゃないか!」から「子どもの権利が守られていない現状の認識」となるのが広告側の意図かと思います。そして、なぜそんな事に?という問いから、社会問題(この場合色々あるのですが、児童労働とか低所得、子供の学習機会 etc...)について議論があれば建設的でした。

文書が少々悪い

今回この文書が、インターネット上で「問いが難しすぎる」「分からない奴は低能」という議論となり、炎上し冒頭の目的を達成することができませんでした。

上記、改定後の文書は、完全に技術文章の趣となるため、児童労働と子供の勉強に対し問題提起を目的としている「広告」の文書としては失格かと思います。

広告の趣旨から、問題提起が多少「詩的」にならざるを得ないとは思います。しかし、問題提起をしつつ一般大衆に計算をさせ、かつ、出た結果から改めて社会問題を認識させるという複合した目的に対し問題文が若干不適切だったと思います。(受け手の反応を見れば明らかだと思いますが…

特に、(1)問いたい事を先に書かずに後置きしている、(2)"残りの"という指示表現がどこにかかるのか分かりにくいという箇所に、問題を感じます。

じゃあどうすればよかったのか、というのは自分には少々難しいですが、このような複合した目的の場合もう少し文書を推敲する必要があったのかと思います。

CMの動画のほうもしょっと説明が足りていない

この広告、動画の内容も説明が足りていません。

動画なので視覚に訴える手段もあったと思いますが、動画なのに文字を表示し読み上げるだけで視覚に訴える表現が乏しいです。肝心の文字の内容も、「この問題は本当に問題です」「世界では、子供の6人に1人が学校に通えてません。」「子どもの権利を守る」「セーブ・ザ・チルドレン」とキャッチフレーズを並べるゴリ押しな感じです。いくら問題がテーマだからって強引すぎます。

論証構造が無いため、受け手が「悟れ」という形になっており、議論の方向付けができていないのも割と問題かと思います。

図らずも、この件をブログを書いたことにより、団体の意義と問題の認識ができました。それは良かったかと思います。