エンジニアだけじゃないのですが、会社でプロジェクトリーダー
心理効果を悪用して自分の事をコントロールしようだとか、物事を正しく評価できないとかがあると困るので有名な心理効果をまとめてみました。
特記:
別に心理の専門家じゃないので個人の見解・解釈です。
ダブルバインド
相手を支配するための心理操作の入り口。全く矛盾する2つの事柄を同じ人物が同じ人間にぶつけて、相手を自発的に行動せず自分の意図のままに操り人形化します。
一番有名なのが
「自分の判断でやれ」
「何で俺に判断を仰がないんだ」
です。パワーハラスメントで用いられ、相手を支配しようとするときに用いられる事が多いそうです。が、「矛盾する内容を同一人物に向かって同じ人間が発信する」という事は、誰しもがやってしまう可能性があるので注意が必要です。
統計的差別
個人ではなく、全体的傾向で個人の性質を決め付ける行為。
具体的には
東大を卒業したから仕事ができる
が有名かと思います。大多数の傾向としてはその可能性が高いですが、個々人に当てはめたときには当てはまらないのがポイントです。基本的に有限のリソースを効率的に使用するために過去の統計を用いて処理対象をフィルタするので、実際の差別とは関係ないです。大企業の学歴フィルターなどはこれに当たると思います。
従って、本来この効果に侮蔑的な意味合いは含まれていないのですが、
- 統計に戻づいていない主観で傾向を判断する
- レッテル貼りをして侮蔑的態度を取る
などがありますが、逆説的にデータに基づかない主観でレッテル貼りをして侮辱した場合、ただの差別となります。
バーナム効果
血液型性格診断の事です。具体性のない一般化された情報にも拘らず、自分のパーソナリティを言い当ててるような気持が起きることを指します。
具体的には
あなたはしし座なので勇気がある
A型なので几帳面である
です。ここで注意するべきは、「いつ」「どのような状況で」「どういう行動」を撮れば「勇気がある」のでしょうか。「几帳面である」とはどういった行為をさして言っているのでしょうか。この場合意図的に伏せられています。
従って、言説には一切の具体性がありません。そのため、受けて個々人が、欠けている情報を補完した結果生まれた具体的な(そして都合の良い)状況に当てはめて「当たっている」と判断するという認知の流れが起きます。
また、こういった言説はメディア、書籍、インターネット上で繰り返し登場し、刷り込みが行われるため傾向として正しいといった因果関係が全く逆という状況も発生しえます。また他人をコントロールするためにも用いられますので注意が必要です。
この心理効果は大変効果が高く人間の認知のバグを突いたハッキングみたいなものなので注意が必要です。
偽の合意効果
自分の持っている意見は、他人も持っていると考えがちという事を指します。
例えば、社内の品質保証部員が、ユーザーはXXXを求めている。と言った旨の発言をした場合、市場調査に基づかない限り、その部員個人の意見であり、ユーザーの意見では決してありません。
子供は社会性を獲得するまで割とそう信じているケースが多々あるそうですが、大人になってもこの傾向が非常に強い人間が稀に居るため、早めに見つけて対処する必要があります。
個人が抱く価値観、例えば「常識」「人間として当然」などは、当然、他人とは一切共有していませんが、相手も同じ価値観を持っていると思い込んでいる事もこれに該当すると思います。
ピグマリオン効果
他人に期待を寄せ、何らかの責任を負ってもらった場合、期待に応える可能性が高まることを指します。
この効果は賛否両論のようですが、相手に期待を寄せてそれ相応の待遇を行うことで結果的にパフォーマンスが発揮される、期待されることを感じ取って相手がパフォーマンスを発揮する。のような効果が出る事を指しています。
完全に個人の見解ですが、「まぁ全然期待してないから精々頑張ってね」なんて言われてパフォーマンスが出る人間はマゾか何かなので、自分の本当の内面はさておき「期待しているから頑張ってくれ」と声をかけて相手の要望をいくつか聞く事で、類似した効果が得られると思います。
保有効果
自分の持っているモノは価値があるものと信じ、所有しているものを好ましく思う事を指します。
自分の持っているモバイルデバイスは優れている、一般市場においてもそうに決まっていると感じたり、PS4を所有し、Switchを持っていない場合PS4のほうがより有用と考えることも保有効果に該当すると思います。
偽の合意効果との組み合わせで論争が起きるのですが、「所有物に対しては特別な価値を感じやすい」という事を意識しているといないのでは、かなり違いが生まれると思うので意識しておく必要があります。
接触効果
ある事柄、事象を複数回見たり聞いたりしているうちに、それらに対する評価が上昇することを指します。
個人的には、最初はイケてないと思っていたPerlがしばらく使っているうちに、そんなに悪くないなと思い始めたのが印象的でした。しばらく離れていてもう一度触ったらやっぱりクソだなだと思ったので、触っているうちは評価が上昇していたんだと思います。
人物や音楽、フレームワークや言語なんにでも発生しますが、対象の情報が増えて評価結果を変更したのか、ただ見聞きしている回数が増えただけで好ましく思い始めたのかは意識しておいて損はないと思います。
最後に
なんか、こうやってまとめてみると、
- 他人に影響されやすい
- 思い込みをしやすい
で、
- 合理的判断とはかけ離れている
んだなぁと思います。まぁ完全な合理的判断なんて存在しないのかもしれませんが。そして、しかもこれらを逆手にとって相手を自分の制御下に置こうとする存在(他人・企業)が結構思い当たったりします。
ネット上の煽りなんて正にこのまんまなんですが、全く無意識にやっていると只の教育されていないケモノ同然ですね…
ここで紹介したものが全てではないですが、人間はこういう風に感じやすい・考えがちという事を念頭に置いて、自分が、他人に考えを誘導されているかどうか、相手がそういった効果を利用して自分をコントロールしようとしているかどうかを意識することは、自意識の形成と精神の防御力に結構関係あると思います。加えて、自分のコントロールは自分で行うというのは人生を有意義に過ごすためのキーになり得ると思うので心のどこかに常に置いておいた方が良いかなと思います。